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その街(一)          ひとまずは 暮らすためでなく 歩き 安らぐためだけに足を運んで身をひたすのは 血が通って在り続けるための 意思や微細なきらめきが そこかしこ、誰にでも少しずつ 手に受けた湧水をこぼさないよう湛えたまま日々を暮らす ような人々に満ちた その街 古いけれど今も磨かれて密度のある木や石の建物 小さなクスノキを健やかに鎮座させる裏路地 狭くない、着色されない空  鳴る鐘 布屋は夕方には閉まる 夜の青さが満ちて 灯り   煙を出し始めるラーメン屋 そして それらと身を寄せ合い親しいまま 入り交じるようにたくさん在る すみか ねぐら 人々 いずれわたしが生きる場所が 街という (機能ではない) 雑であることを澄んだ意識で保ち続けるような 各々の光と時の流れ合う みなとのような空間であるとよい top (contact : info アットマーク nimanyojitsuki.blue)