聖俗/老若
白熱電球を少しばかり垂らして
世界の午前と午後とを一滴だけ透明にする
手もとの紅茶が
灯の揺らぎに応じて彩度を行き来するように
この青一色の表紙の本も
様々な角度にわずかな傷跡たちを見せる
砂糖は害悪かつ罪悪と言えども
あまりにも馴染んで半生を浪費してしまった
この淡い栗色の、山の名を冠した菓子を
五年前のあの日も食べていましたよ
と 懐かしそうに、だが乾いた気色で
初めて会った頃より体を枯れさせつつある
者らとして 向かい合う
窓の外がすぐ暗くなり
一滴の灯は脳から指先へと滲んで
わたしたちを
このとき
ここから離れがたいものにする
冬
top
(contact :
info アットマーク nimanyojitsuki.blue)