二万余日記 © kawase hisaki 2025 All rights reserved.
聖俗/老若          白熱電球を少しばかり垂らして 世界の午前と午後とを一滴だけ透明にする 手もとの紅茶が 灯の揺らぎに応じて彩度を行き来するように この青一色の表紙の本も 様々な角度にわずかな傷跡たちを見せる 砂糖は害悪かつ罪悪と言えども あまりにも馴染んで半生を浪費してしまった この淡い栗色の、山の名を冠した菓子を 五年前のあの日も食べていましたよ と 懐かしそうに、だが乾いた気色で 初めて会った頃より体を枯れさせつつある 者らとして 向かい合う 窓の外がすぐ暗くなり 一滴の灯は脳から指先へと滲んで わたしたちを このとき ここから離れがたいものにする 冬 top (contact : info アットマーク nimanyojitsuki.blue)