二万余日記 © kawase hisaki 2025 All rights reserved.
旧世紀             もう何度となく 手の中に黒い珈琲の熱を抱えつつ たわむれに足を運び ほのかな軋みを愉しんだ 新日の出橋にまたやって来て 濃緑色の運河を通り過ぎようとすると すっかり見飽きたと決め込んでいた 少し遠くの人工島を構成する 四角い建造物たちの群れが いつしか肌から遠くなったはずの 白みを極めた日の光に纏わりつかれ その新しいまま朽ちてゆくだろう姿を 史上最も明確に 高い彩度で 左眼の端に差し込んできた わたしの感情が 灰赤色の脳の最上部の表面の 薄い層一枚でしか 歓んでいないのを まざまざと認知して 水瓶座を迎え入れようとする あと幾度来るか知れない 冬の深まり始めたのを 薄着のこの肉体で 感受する top (contact : info アットマーク nimanyojitsuki.blue)